European Heart Journal 2015, in press. DOI:http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv695. PMID: 26715165
後天性QT延長症候群の遺伝的背景
The genetic underlying acquired long QT syndrome: impact for genetic screening.
執筆者
Hideki Itoh, Lia Crotti, Takeshi Aiba, Carla Spazzolini, Isabelle Denjoy, Veronique Fressart, Kenshi Hayashi, Tadashi Nakajima, Seiko Ohno, Takeru Makiyama, Jie Wu, Kanae Hasegawa, Elisa Mastantuono, Federica Dagradi, Matteo Pedrazzini, Masakazu Yamagishi, Myriam Berthet, Yoshitaka Murakami, Wataru Shimizu, Pascale Guicheney, Peter J Schwartz, Minoru Horie.
概要
後天性QT延長症候群は薬剤、低カリウム血症、高度徐脈などでQT延長、致死性不整脈が出現する病態であり、遺伝的背景が潜在していることがある。本研究は国内8施設とフランス、イタリアの3ヶ国による国際共同研究で、後天的要因によってQTc間隔が480ms以上に延長した188症例(5520歳, 女性140例)を1010家系2379症例の先天性QT延長症候群と比較した。
後天性QT延長症候群のQTc間隔は45339msで先天性QT延長症候群家系の保因者より短いが、非保因者より延長していた。遺伝子検索の結果、53例(28%)に47変異が同定され、変異同定率は日本人と白人の人種間による差を認めなかった。後天性QT延長症候群ではKCNH2遺伝子の変異が高率であった。また有症候者、40歳未満での発症、後天的要因がない状態でのQT間隔の延長が遺伝子変異の存在に関与する背景であった。
後天性QT延長症候群の臨床病態から遺伝子検査の必要性を考慮し、検査に要する費用を削減することで費用対効果が期待できると考えられる。
文責
内科学講座(循環器?呼吸器) 堀江 稔