新年明けましておめでとうございます。新年を迎えるにあたって、ご挨拶を申し上げます。
本年の抱負を述べるにあたり、まずは中国体彩票app官方下载の現状をしっかりと認識しておく必要がありますので、昨年の状況を振り返りながら、教職員の皆さんとの相互理解を深めてまいりたいと思います。
まず1つ目は、昨年4月から始まった医師の働き方改革に関することです。開始までの周到な事前準備と、教職員の皆さんのご協力により、順調に経過しているところです。働き方改革のなかで医療の質と安全を維持するためには、医師の増員が必要ですが、各診療科の先生方の不断の努力により、多くの専攻医を獲得できたことは大きな効果がありました。また、本学は看護師の特定行為研修のリーダーであることから、医師の働き方改革においても、看護師の皆さんの強力なご支援をいただいております。医師の増員に伴い人件費は増加しますが、大学病院として、責任を持って診療業務を遂行するためには不可欠な対応であり、今後もこの方針を継続してまいります。
2つ目は、昨年1月に受審した日本医療機能評価機構による病院機能評価と、7月に受審した日本医学教育評価機構(JACME)による医学教育分野別評価に関することです。細部において複数の改善指示はありましたが、医学部附属病院の診療?教育システム、そして医学部医学科の国際的に求められる教育の取り組みについて、十分に高いレベルで対応できているという評価であったと理解しており、双方ともおおむね適切に評価されたと思います。
3つ目は、大学院教育の拡充に関することです。昨年4月から、大学院医学系研究科に看護学専攻博士後期課程を設置し、1期生として4名の入学者を迎えました。来年度も順調に3名の入学者を迎える予定です。また、当該課程の設置に伴い、文部科学省の概算要求において「次世代高度看護系人材養成事業」が採択され、「看護臨床データサイエンス」と「グローバル連携看護学」の領域に新たに教授ポストが認められたことで、本学の看護学教育のさらなる発展が期待されます。また、医学専攻博士課程において、本学の学術交流協定校であるマレーシア国民大学と連携し、エイジングサイエンスの研究と教育を行う「ジョイント?ディグリー?プログラム(国際連携専攻)」の設置が認められ、本年10月から新たに入学者を迎えることとなります。全国の大学の中でも「ジョイント?ディグリー?プログラム(JDP)」を設置している大学はまだ少なく、大学院教育の国際化の観点から、本学にとっては大きなアドバンテージとなります。
4つ目は、研究活動の活性化に関することです。外部資金の獲得状況を見ると、共同研究講座については、継続と新規開設の潮流が続いており、また科学研究費の獲得についても堅調に推移している状況です。働き方改革に伴い、研究活動の時間が制約されているなか、少なくとも現状維持ができていることは、とても立派なことと思います。
最後に5つ目は、就業?就学環境の改善に関することです。具体的な取り組みとしては、「教職員満足度調査」と「セクシャルハラスメントアンケート調査」の継続的な実施が挙げられます。「教職員満足度調査」の結果は、今後、1月31日に開催する全学フォーラムで報告のうえ、皆さんと意見交換を行う予定です。また、「セクシャルハラスメントアンケート調査」の結果は、今年度中に行う予定のFD研修会で教職員の皆さんに報告するとともに、学生に対しては新年度に実施する各学年オリエンテーションで報告し、より良い職場と学びの場づくりの推進に繋げてまいります。
以上のように、本学が目指す未来への取り組みは、比較的順調に進んでおります。そのなかで教職員の皆さんには、それぞれの目的に向かって日々の業務に邁進していただくとともに、互いに尊重し合う明るい環境づくりへのご協力をお願いします。その一方で、わが国が抱えている経済的な問題が、現実の形として本学の大学運営や病院運営に影響が及んでいることを、どうかご理解ください。国際紛争の影響もありますが、大きくは、わが国の長期間に及ぶ経済低迷が原因で、光熱費や医療資源を含む物価高騰が持続していることに加え、本年からは人事院勧告に伴う、人件費の高騰が積み重なります。賃金の上昇は、教職員の皆さんにとって朗報であり、また長期的にはわが国の経済低迷を脱却するための起爆剤になる可能性がありますが、経済回復には数年を要すると思います。したがって、本学にとっても、本年を含め数年間は財政的に厳しい状況が続くことが予想されますが、何とかこの状況を乗り切りたいと思います。具体的な対策としては、日々の業務に支障が出ない範囲で支出を削減すること、附属病院における医療安全に配慮したうえで活発な診療活動を行うこと、研究活動の推進から繋がる外部資金の獲得を増やすこと、そして積極的に補助金を獲得することです。これらは、教職員の皆さま一人一人のご協力が必要不可欠です。執行部一同、鋭意努力を重ねてまいる所存ですので、ご理解?ご協力くださいますよう、お願い申し上げます。
最後になりましたが、昨年は本学の開学50周年記念行事を盛大に執り行うことができました。また、教職員の皆さまをはじめ、学内外の多くの方々から多額のご寄附を賜り、キャンパスの施設整備事業を中心とした記念事業を進めることができ、これからの50年に向かって本学が飛躍するための記念すべき年になりました。教職員の皆さまには、この場をお借りして、あらためて心から感謝申し上げます。
厳しい財政状況ではありますが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
令和7年1月6日
国立大学法人中国体彩票app官方下载長 上本 伸二